川端酒造見学記
※このページは、2007年5月に「いんふぉるむマガジン」のサイトで公開したものです。
同マガジンの許可を得て、加筆・修正の上で当サイトで公開いたします。
写真・文:古代史と日本酒が好きなS
お品書き
プロローグ
先日、私がよく行く『さきたま古墳』の少し北よりに風情のある酒蔵を発見!
お店に入りお店のおばさんに試飲をお願いすると、
店人 ・・・「試飲とかやってないんですよね」
では、四合瓶を買って帰ってから試そうと、値札を見て純米酒を注文すると、
店人 ・・・「純米はまだ出来てないのよね・これからなの」
ではと、生搾り原酒を頼むと、
店人 ・・・「まだ搾ってないのよね・搾ればあるのよね」
なんと商売っけのない店なのだろうか?
この店大丈夫?っと人ごとながらも心配になります。
店人 ・・・「今、店に瓶で並んでいるのだけ買えます」
並んでいるのはアルコール添加の生搾りタイプのみ。仕方なくこれの四合瓶を買い求め、帰宅してから試してみたら、なんともすっきりとした飲み心地です。
翌月、またこの酒蔵近くに行く機会があったので、お店の方に『この間のおいしかったです、ぜひ工場を見学させてください』と申し出ると快く「いいですよ」となりました。また、試飲もさせてもらいました。皆様にご紹介いたします。
酒蔵見学
- 蔵の内部です。
この酒蔵の名は川端酒造さん。ブランドは「桝川(マスカワ)」
創業が安政年間ですから創業150年ということになります。
ここは季節になるとやって来る小さな小さな酒蔵なのです。
(現在では専務さんが杜氏を務め家族で頑張っています。)
- 蒸し釜と冷却機
さて見学はまず米を蒸すところから。
蒸米は急速に冷やして仕込みタンクに送り込むそうです。
この冷却機は昭和43年製。手入れを繰り返して大切に使われています。
- 麹室 本来は白布の上に蒸米が敷かれ麹菌をふって繁殖させる。
次に、冷やした蒸米が送り込まれた麹室を見せてもらいます。麹室は雑菌を嫌いますから通常は見学不可ですが、当日はもう仕込みは終わっていましたので、特別に中を見せてもらえました。
- 搾り機
発酵が終わると写真の搾り機で搾ります。この搾り粕が酒粕
- 醸造タンク
搾った原酒はこの醸造タンクに寝かせて熟成させます。
- 入手不可能な一斗瓶
吟醸酒は専用の一斗瓶に入れて寝かせる。
この瓶は手漉きガラス製のもう入手不可能な貴重品だとか。
- 瓶詰めして店頭へ
醸造が終わると瓶詰めして店頭に並ぶというわけです。
当日は「純米酒」も「生搾り原酒」も並んでいました
- レンガの煙突
遠方の煙突。下半分がレンガで、上半分が金属製の珍しい構造である。
元々はオールレンガ作りであったが、関東大震災で上半分が折れてしまい、鉄管で補強して今日に至るのだそうだ。建屋はもちろん江戸時代のもの。
清酒 桝川の入手方法
直販
- 品評会の金賞
- 桝川ブランド
お店の中には各地の品評会での金賞受賞の賞状が並んで掲げられています。
これはおいしさのひとつの証明でしょう。
しかしこの「桝川」、地場の酒店や飲食店で流通しているだけのようです。
ネットでは買えないし(Webサイトも存在していない)、紙ベースの案内も皆無だし、なにより宣伝している気配がありません。
電話で注文してくれれば着払いで送るそうですが、何の案内も無しに試しもしないでいきなり頼む方も稀でしょう。
これはある意味“まぼろしのお酒”なのかもしれません。
でもそれで話が終わってはおちになりませんので、無理を言って文京の銘酒を取扱う高崎屋さんと、料理屋の二木屋さんに置いていただきました。
本郷追分の高崎屋さんで買えます
本郷追分(東大農学部前)にある江戸時代創業の高崎屋さんは銘酒取扱の老舗。
江戸時代中期、地場の蔵元を支援して「下らない」と言われた関東の日本酒の質を上方並みに引き上げて大成功を収めています。
- 江戸時代の本郷追分の高崎屋絵図
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高崎屋さんに桝川の話をしたところ「いいですよ」となって置いてもらえることになりました。
ということで“まぼろしの酒(?)”桝川は現在では都内でお求めになれます。純米原酒四合1,100円です。
【住所】
〒113-0023 東京都文京区向丘1-1-17
【TEL】:03-3811-0833
【FAX】:03-3815-5340
URL:http://www.hi-ho.ne.jp/ornellaia
高崎屋さんは銘酒の品揃えも凄いですがワインの在庫もまた圧巻。
ワインセラーにはおいしそうなのが横たわっています。ワイン好きの方は一見の価値ありです。
お店で桝川を呑む方法
さいたま市の料理屋二木屋さんで呑めます
二木屋さんに置いてもらえないかと声をかけたところ、偶然にも「店で出す埼玉の地酒を探している」ということで先日ご案内しました。
- 商談・利き酒中の川端社長と二木屋小林オーナー
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利き酒の結果「これなら出せるかな」ということで・・・
桝川の冷酒と純米酒“二木屋”さんに置いてあります。
【住所】
〒338-0012埼玉県さいたま市中央区大戸 4-14-2
【TEL】:048-825-4777
【FAX】:048-831-2452
【URL】:http://www.nikiya.co.jp
皆様、桝川を高崎屋さんか二木屋さんでぜひ試してみてください。
自称:桝川ボランティア販促部 S
※これは2007年5月現在の情報です。現在ではネットでも購入できます。